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最高裁判所第一小法廷 昭和60年(あ)1198号 決定

主文

本件上告を棄却する。

当審における未決勾留日数中三三〇日を本刑に算入する。

理由

弁護人石川四男美の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張であり、弁護人谷口稔の上告趣意第一点は、事実誤認の主張であり、同第二点は、単なる法令違反の主張であり、同第三点は、憲法三一条違反をいうが、その実質は単なる法令違反の主張であり、同第四点は、判例違反をいうが、所論引用の最高裁昭和二四年(れ)第一八九八号同年一二月二四日第二小法廷判決・刑集三巻一二号二一一四頁は、事案を異にし本件に適切でなく、その余の引用判例は、その具体的摘示を欠き、同第五点は、量刑不当の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

所論にかんがみ、原判決の維持した第一審判決の認定事実第一に対する擬律の問題につき職権で判断する。

一、二審判決の認定するところによると、本件事案の概要は次のとおりである。

被告人が属していた暴力団石川一家と、被害者橋口勲が属していた暴力団浜田会とは、かねて対立抗争中であった。石川一家山口組組長山口侃は、知人である一、二審相被告人大場英世と話し合った結果、大場がかねて橋口を知っており、覚せい剤取引を口実に同人をおびき出せることがわかったので、浜田会浜田組幹部である橋口を殺害すれば浜田会の力が弱まるし、覚せい剤を取ればその資金源もなくなると考え、大場にその旨を伝えた。大場は、橋口に対し、覚せい剤の買手がいるように装って覚せい剤の取引を申し込み、橋口から覚せい剤一・四キログラムを売る旨の返事を得たうえ、冨田勝も仲間に入れ、昭和五八年一一月一〇日、山口、その舎弟分の石川一家岡組組長岡万猛留及び岡の配下の被告人と博多駅付近で合流した。被告人、大場、山口、岡、冨田の五名が一緒にいた際に、大場は、被告人に対し「浜田会の幹部をホテルに呼び出す。二部屋とって一つに浜田会の幹部を入れ、もう一つの部屋にはお前が隠れておれ。俺が相手の部屋に行きしばらく話をしたのち、お前に合図するから、俺と一緒についてこい。俺がドアを開けるからお前が部屋に入ってチャカ(拳銃)をはじけ。俺はそのとき相手から物(覚せい剤)を取って逃げる」と言って犯行手順を説明し、被告人もこれに同調した。なお、この際、奪った覚せい剤は全部大場の方で自由にするということに話がまとまった。ところが、その後、大場は右犯行手順の一部を変更し、被告人に対し「俺が相手の部屋で物を取りその部屋を出たあとお前の部屋に行って合図するから、そのあとお前は入れ替わりに相手の部屋に入って相手をやれ」と指示し、翌一一日午前に至り、福岡市博多区博多駅前三丁目二三番七号所在の松島ホテル三〇三号室に橋口を案内し、同人の持参した覚せい剤を見てその値段を尋ねたりしたあと、先方(買主)と話をしてくると言って三〇九号室に行き、そこで待機している被告人及び冨田と会って再び三〇三号室に戻り、橋口に対し「先方は品物を受け取るまでは金はやれんと言うとる」と告げると、橋口は「こっちも金を見らんでは渡されん」と答えてしばらくやりとりが続いたあと、橋口が譲歩して「なら、これあんたに預けるわ」と言いながら大場に覚せい剤約一・四キログラム(以下、「本件覚せい剤」という。)を渡したので、大場はこれを受け取ってその場に居合わせた冨田に渡し、橋口に「一寸待ってて」と言い、冨田と共に三〇三号室を出て三〇九号室に行き、被告人に対し「行ってくれ」と述べて三〇三号室に行くように指示し、冨田と共に逃走した。被告人は大場と入れ替わりに三〇三号室に入り、同日午前二時ころ、至近距離から橋口めがけて拳銃で弾丸五発を発射したが、同人が防弾チョッキを着ていたので、重傷を負わせたにとどまり、殺害の目的は遂げなかった。

以上の事実は、記録に徴し概ねこれを是認することができる。但し、一、二審判決が、被告人が大場と入れ替わりに三〇三号室に入ったと判示している点については、記録によると、大場と冨田は、三〇三号室で橋口から本件覚せい剤を受け取るや直ちに三〇九号室に赴き、そこで本件覚せい剤をかねて準備していたショルダーバッグに詰め込み、靴に履き替えるなどして、階段を三階から一階まで駆け降りて松島ホテルを飛び出し、すぐ近くでタクシーを拾い、小倉方面に向かって逃走したが、大場は、三〇九号室において被告人にに少し時間を置いてから三〇三号室に行くように指示し、被告人も大場らが出ていってから少し時間を置いて三〇三号室に向かったことが認められ、したがって、被告人が橋口に対し拳銃発射に及んだ時点においては、大場と冨田はすでに松島ホテルを出てタクシーに乗車していた可能性も否定できないというべきであって、一、二審判決の判示は、措辞やや不適切というべきである(大場が用いた口実からして、橋口は、大場が買主に本件覚せい剤の品定めをさせ、値段について話し合い、現金を数えるなどしてから戻って来ると誤信させられていたことになるから、文字どおり大場と入れ替わりに被告人が三〇三号室に入るのはいかにも不自然である。)。

右事実につき、原判決は、(1) 大場は橋口の意思に基づく財産的処分行為を介して本件覚せい剤の占有を取得したとはいえず、これを奪取したものとみるべきであること、(2) あらかじめ殺人と金品奪取の意図をもって、殺害と奪取が同時に行われるときはもとより、これと同視できる程度に日時場所が極めて密着してなされた場合も強盗殺人罪の成立を認めるべきであること、(3) このように解することは、強盗殺人(ないし強盗致死傷)罪が財産犯罪と殺傷犯罪のいわゆる結合犯であることや、法が事後強盗の規定を設けている趣旨にも合致すること、(4) 本件の場合、もともと橋口を殺害して覚せい剤を奪取する計画であったところ、後に計画を一部変更して覚せい剤を奪取した直後に橋口を殺害することにしたが、殺害と奪取を同一機会に行うことに変わりはなく、右計画に従って実行していること、などの理由を説示して、被告人(及び大場)に対しいわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪の成立を認め、これと結論を同じくする第一審判決を支持している。

しかしながら、まず、右(1)についてみると、前記一、二審認定事実のみを前提とする限りにおいては、大場らが橋口の財産的処分行為によって本件覚せい剤の占有を取得したものとみて、被告人らによる本件覚せい剤の取得行為はそれ自体としては詐欺罪に当たると解することもできないわけではないが(本件覚せい剤の売買契約が成立したことになっていないことは、右財産的処分行為を肯認する妨げにはならない。)、他方、本件覚せい剤に対する橋口の占有は、大場らにこれを渡したことによっては未だ失われず、その後大場らが橋口の意思に反して持ち逃げしたことによって失われたものとみて、本件覚せい剤の取得行為は、それだけをみれば窃盗罪に当たると解する余地もあり、以上のいずれかに断を下すためには、なお事実関係につき検討を重ねる必要がある。ところで、仮に右の点について後者の見解に立つとしても、原判決が(2)において、殺害が財物奪取の手段になっているといえるか否かというような点に触れないで、両者の時間的場所的密着性のみを根拠に強盗殺人罪の成立を認めるべきであるというのは、それ自体支持しがたいというほかないし、(3)で挙げられている結合犯のことや、事後強盗のことが、(2)のような解釈を採る根拠になるとは、到底考えられない。また、(4)で、もともとの計画が殺害して奪取するというものであったと指摘している点も、現に実行された右計画とは異なる行為がどのような犯罪を構成するのかという問題の解決に影響するとは思われない。本件においては、被告人が三〇三号室に赴き拳銃発射に及んだ時点では、大場らは本件覚せい剤を手中にして何ら追跡を受けることなく逃走しており、すでにタクシーに乗車して遠ざかりつつあったかも知れないというのであるから、その占有をすでに確保していたというべきであり、拳銃発射が本件覚せい剤の占有奪取の手段となっているとみることは困難であり、被告人らが本件覚せい剤を強取したと評価することはできないというべきである。したがって、前記のような理由により本件につき強盗殺人未遂罪の成立を認めた原判決は、法令の解釈適用を誤ったものといわなければならない。

しかし、前記の本件事実関係自体から、被告人による拳銃発射行為は、橋口を殺害して同人に対する本件覚せい剤の返還ないし買主が支払うべきものとされていたその代金の支払を免れるという財産上不法の利益を得るためになされたことが明らかであるから、右行為はいわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪に当たるというべきであり(暴力団抗争の関係も右行為の動機となっており、被告人についてはこちらの動機の方が強いと認められるが、このことは、右結論を左右するものではない。)、先行する本件覚せい剤取得行為がそれ自体としては、窃盗罪又は詐欺罪のいずれに当たるにせよ、前記事実関係にかんがみ、本件は、その罪と(二項)強盗殺人未遂罪のいわゆる包括一罪として重い後者の刑で処断すべきものと解するのが相当である。したがって、前記違法をもって原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号、刑法二一条により、主文のとおり決定する。

この決定は、裁判官谷口正孝の意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官谷口正孝の意見は、次のとおりである。

多数意見が、原判決の維持した第一審判決の認定事実第一について、一項強盗による強盗殺人未遂罪の成立を認めた原判断は誤りであるが、二項強盗による強盗殺人未遂罪の刑で処断すべき包括一罪が成立すると解されるから、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとはいえないとして、本件上告を棄却すべきであるとする点については、私も賛成であるが、その理由については多数意見と一部見解を異にするので、以下、私の考えるところを明らかにしておきたい。

一 本件事案の内容及びこれに対する擬律に関する原判決の説示は、多数意見が要約しているとおりであり、原判決の(2)ないし(4)の説示を誤りとすべきことも多数意見が指摘しているとおりである。もともと、強盗殺傷罪(ないし強盗致死傷罪)は、強盗犯人が強盗の現場もしくはその機会継続中に人を殺傷することにより成立する罪であって、同罪が財産犯と殺傷罪との結合犯であることを理由として、原判決のいうような解釈を導くことのできないことはもとより、事後強盗罪の規定の存することを理由として、原判決の示すような結論を導くことができないことも明らかなところというべきである。

二 ところで、右の原判決の法令解釈の誤りを暫くおくとして、本件においては、先ず、原判決が(1)で説示するように、被告人らが橋口から本件覚せい剤を奪取したものと認定したことの当否について、検討してみよう。

原判決の挙示引用する証拠によれば、本件の場合、被告人、大場、山口、岡らによる当初の共謀は、橋口を殺害してから同人の所持する覚せい剤を奪取するという典型的な一項強盗殺人を内容とするものであったが、現に被告人及び大場らが実行したところは、先ず、大場が、覚せい剤取引にかこつけて橋口を松島ホテル三〇三号室に呼び出し、別室に買主が待機しているかのように仕組み、その客との間の覚せい剤の売買を斡旋するもののように見せかけて、売買の話をまとめるためには現物を買主に見せる必要がある旨申し向け、橋口をその旨誤信させ、同人から本件覚せい剤を受け取り、被告人が待機していた同ホテル三〇九号室で冨田と共にこれをショルダーバッグに詰め込んで携帯し、直ちに同ホテルから逃走し、次いで、被告人が少し時間を置いて三〇三号室に赴き橋口に対し拳銃発射に及んだという事実を認めることができる。原判決は右のような事実関係に依拠しながら、大場は橋口の意思に基づく財産的処分行為を介して本件覚せい剤の占有を取得したとはいえず、これを奪取したものとみるのが相当である旨判断している(但し、原判決はその占有移転の時期について明示していない。)。たしかに、いかなる場合に財産的処分行為としての任意の交付行為があったといえるかを一律に定式化することは困難な問題であり、本件において橋口が大場に本件覚せい剤を手渡したのが右交付行為に当たるといえるか否かにつき微妙な問題が存するところであり、多数意見が原判決の判文に即してこの点の判断を留保しているのもそれなりに理解できなくはない。しかしながら、私としては、橋口が本件覚せい剤の売値を決めて大場に渡していること、及び同人が買主が待機しているはずの部屋番号までは知らされていないことのほか、取引の対象となっているのが法禁物である覚せい剤であって、所持の移転は所有の移転に直結するものであり、それゆえにこそ、橋口は大場にこれを預けることをちゅうちょしていたものと思われるところ、前記のとおりの大場の巧妙な欺罔手段に乗せられたからこそ、橋口はこれを大場に手渡したのであることをも考慮すると、本件覚せい剤に対する占有は、右手渡しによって橋口から大場に移転したものであり、そして、その占有移転は、大場の仕組んだ欺罔行為に基づく橋口の錯誤によってなされたものと評価すべきであり、すなわち、本件においては、詐欺に基づく交付行為があったと考えるのが相当であると思う。しかも、大場が被告人に対し橋口を殺害するため前記三〇三号室に赴くよう指示する前、大場は既に前記のとおり冨田と共に本件覚せい剤を同人らが準備していたショルダーバッグの中に納めてしまっているのであるから、遅くとも、その時点においては大場は本件覚せい剤に対する占有を確保し、大場のした欺罔手段による詐欺は既遂に達していたものというべきである。そして、情を知って右大場の行為に加功した被告人も、詐欺罪についての共同正犯の責任を免れないものといわなければならない。

なお、もし、本件覚せい剤についての橋口から大場への占有移転を、原判決のいうように任意の交付に当たらないというのであれば、これを窃盗とみざるをえないわけであろうが(原判決も又そのように解しているものと思われる。)、その場合も大場がこれをショルダーバッグに納めた時点で既に窃盗は既遂に達していたものというべきであろう。しかし、私は、窃盗犯人が所持取得後窃取にかかる金品の被害者に対する返還を免れるために被害者等に暴行、脅迫を加えた場合は、刑法二三八条の事後強盗の要件を充たすときにのみ、強盗を以て論ずることができるのであり、窃盗罪の成立を肯定したうえ、二項強盗罪の成立を論ずるが如きは、解釈に名を藉り右二三八条の成立範囲を拡張するに等しいものと考える。すなわち、このように解しなければ、刑法二三八条の規定はその厳格な成立要件の枠を超え、更に窃盗罪が先行して成立する場合に、盗品の返還ないしその代価相当額の支払いを免れるという類型の二項強盗罪の成立を認めることとなり、右二三八条の規定は、二三六条二項の規定の特別規定ということになる結果を承認することに帰着するからである。また、原判決は、本件につき事後強盗の要件が充たされているか否かについて何ら判断を示していないことも原判文上明らかである。

三 次に、しからば被告人の橋口に対する拳銃発射の行為をどのように評価すべきであろうか。

二項強盗罪の成立要件として、私は一般的には被害者の処分行為を必要とするものと考えている。蓋し、二項強盗罪の性格に照らし、同罪が成立するためには、原則として、利得を徴表する外部的事実の存在あるいは利益の移転を必要と解するからである。そして、被害者の処分行為こそこの要請を充たすものと考えるからである。しかし、二項強盗殺人罪については、財産上不法の利益を得るために用いられる手段が暴行の極限ともいうべき殺人であることを思えば、ここで被害者の処分行為を要求することは物理的に不可能である。従って、同罪の成立については、二項強盗罪の成立要件とされる処分行為必要説について若干の修正を施す必要がある。そこで、私は、犯人と被害者の間において債権、債務の関係が解決されるべき当面の係争事として問題となっている場合に、債務を負担すべき地位にある者が、債務の履行を免れるため、債権を行使すべき地位にある者を殺害して事実上債務の履行を免れ、反面、債権の行使を事実上不能に帰せしめた場合に限っては、二項強盗殺人罪の成立を肯定してよいものと考える(二項強盗罪は、債権以外の財産上の利益の得喪をめぐっても問題となりうるが、ここで、債権、債務という場合は、財産上の利益一般をも念頭においた広い意味で用いているものである。)。蓋し、このような場合には、殺害によって生ずる財産上の利益の事実上の移転が、被害者の処分行為によって生ずるそれと価値的に同視できるからである。単に債権を取得し、あるいは債務を免れる動機・目的のため人を殺害したすべての場合について、一律に二項強盗殺人罪の成立を認めるとすれば、一面において、一項強盗殺人罪の成立について、強盗の現場もしくはその機会継続中に殺人が行われることを要求することとの間に懸隔を生ずることを考えるべきであり、他面において、殺人罪の成立については、動機・目的の如何を問わないことを念頭に置くべきである。私は、二項強盗殺人罪の成立については、前記の如き限定解釈の必要があるものと考える。最高裁判所昭和三五年八月三〇日第三小法廷判決・刑集一四巻一〇号一四一八頁は、財産上不法の利益を得又は債務の履行を免れる目的で殺人に及んだ場合一般について、二項強盗殺人罪の成立を肯定するもののようであるが、この事案は、私の見解によっても、同罪の成立を肯定しうる場合であったと思う。

このような考えに立って、被告人の橋口に対する拳銃発射の行為についての評価を考えてみる。上告趣意は、大場が橋口から本件覚せい剤の占有の移転を受けた以上、被告人の拳銃発射の行為は、単なる殺人未遂罪に当たるのみであり、(一項)強盗殺人未遂罪を以て論ずることはできないという。論旨は、原判決が結合犯を理由として強盗殺人未遂罪の成立を肯定している点の法令違反を指摘する限りにおいて、正当な一面を有するということができることは、前叙のとおりである。しかし、被告人としては、大場らの橋口に対する本件覚せい剤の返還ないし買主から支払を受けて交付すべきものとされていたその代金の支払を免れるため(このことは第一審判決掲記の証拠上容易に推認できる。)、しかも当面そのことが係争事となり、橋口が買主からの覚せい剤代金の支払等を待ちもうけていた際、同人に対し拳銃発射の行為に及び、橋口をして本件覚せい剤の取り戻し又は代金債権の行使を事実上不可能にし、反面、このような債務の履行を事実上免れようとしたものであるところ、たまたま橋口が防弾チョッキを着ていたため、殺人は未遂に終わり、かつ、そのために、右のような財産上不法の利益を得る目的も遂げなかったのであるから、二項強盗殺人未遂罪の成立は免れないというべきである。

四 最後に、罪数の点を検討しよう。被告人が大場の実行した詐欺(既遂)の罪について、同人らとの共同正犯の刑責を問われることは既にみたとおりであり、同罪と二項強盗殺人未遂罪の関係は、両罪が同一場所で同一機会に継続してなされたものであり、社会現象としても一個の事象として評価されることにかんがみ、詐欺(既遂)罪と(二項)強盗殺人未遂罪の包括一罪として重い後者の刑で処断さるべきものと考える。

(裁判長裁判官 高島益郎 裁判官 谷口正孝 裁判官 角田禮次郎 裁判官 大内恒夫 裁判官 佐藤哲郎)

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